歌舞伎・勧進帳とは?弁慶が義経を打った理由と心理戦の真相を徹底解説

歌舞伎・勧進帳とは?弁慶が義経を打った理由と心理戦の真相を徹底解説

歌舞伎・勧進帳とは?弁慶が義経を打った理由と心理戦の真相を徹底解説について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をご確認ください。

多くの人が最も息を呑み、そして心を震わせるのが「白紙の勧進帳の読み上げ」と「弁慶による義経打擲(ちょうちゃく)」という二大クライマックスです。

富樫から「東大寺再建のために諸国を巡る本物の山伏ならば、勧進帳を持っているはずだ。それを読んで聞かせよ」と鋭く追及された弁慶。当然ながら、逃亡中の彼らがそのようなものを持っているはずもありません。しかし弁慶は微塵も動じず、手持ちの荷物から取り出したただの白紙の巻物を堂々と広げ、あたかも文字が書かれているかのように朗々と読み上げ始めました。

『それ、南無帰命頂礼、東大寺大仏殿開眼供養の砌……』と、仏教の教理と寺院再興の意義を即興で荘厳に紡ぎ出す弁慶の気迫。これがいわゆる白紙の勧進帳 読み上げの真相です。あまりの威厳と立て板に水の弁舌に、富樫の部下たちは完全に圧倒され、「本物の高僧である」と信じ込んでしまいます。

しかし、一行が関所を通り抜けようとしたその瞬間、富樫の鋭い眼光が最後尾にいた義経を捉えました。「待て、その荷物持ちの山伏、義経公に似ているではないか」と疑いの声が上がります。郎党たちが思わず刀の柄に手をかけ、一触即発の抜刀状態に陥ったその刹那、弁慶が取った行動は誰もが予想し得ない狂気の奇策でした。

弁慶は自らの金剛杖(こんごうづえ)を振り上げ、主君である義経の背中を容赦なく打ち据えたのです。「貴様が義経様に似ているせいで関所を止められた!金剛杖の折れるほど叩いてやる!」と怒鳴り散らしながら、泥まみれになりながら平伏する義経を何度も杖で乱打しました。

弁慶が義経を打った理由、それは主君を救うための最後の賭けでした。当時の武士社会において、家臣が主君に手を上げることは神仏への冒涜にも等しい重罪であり、万死に値する行為です。「もしこの荷物持ちが本物の義経公であるならば、家臣である弁慶が杖で打ち据えるはずがない」――弁慶は己の命と武士の誇りを完全に投げ捨て、あえて不敬の極みを演じることで、富樫の疑念を打ち砕こうとしたのです。

高橋 健太
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高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。