多くの利用者に重宝されていたガスト赤坂見附店が撤退に至った背景には、単なる一店舗の売上問題にとどまらない、飲食業界全体の構造変化とすかいらーくグループの戦略転換が存在します。主な要因として以下の3点が挙げられます。
第一に、都市型オフィス街における賃料コストと人流の変化です。赤坂見附エリアは都内有数の高賃料エリアであり、コロナ禍以降に定着したハイブリッド勤務やテレワークの普及によって、平日の昼休み以外のアイドルタイムや深夜帯の客足が従前水準まで完全に戻りませんでした。
第二に、すかいらーくホールディングスによる不採算店舗の整理・ブランド転換戦略です。同社は2026年以降の決算発表や経営方針説明会において、グループ全体で約100店舗規模の採算見直しと契約満了店舗の順次撤退を公表してきました。固定費の高い都心空中階店舗や、設備更新コストがかさむ築古ビル店舗を中心にポートフォリオの最適化が進められた結果、同店も契約満了を機に営業終了が決定されました。
第三に、顧客単価と滞在時間のアンバランスです。長時間のテレワーク利用やドリンクバーのみの滞在比率が高まる一方で、原材料費や人件費の高騰が進行し、低単価・長時間滞在型のファミレスモデルを赤坂の一等地で維持することが構造的に難しくなったと分析されています。