なぜ、圧倒的な知名度を誇るガストが店舗数を絞り込んでいるのでしょうか。その背景には、外食産業全体を揺るがす深刻なコスト環境の変化と、消費者のライフスタイルの構造的シフトが存在します。
第一の理由は、深夜営業の縮小・廃止による収益モデルの変容です。かつてファミレスのドル箱であった深夜24時間営業は、生活様式の夜型から朝型・昼型への移行と深刻な人手不足により維持が困難になりました。深夜帯の売上高が減少する一方で、人件費の深夜割増手当や光熱費の負担が重くのしかかり、深夜営業を前提とした旧来の大型店舗モデルは抜本的な見直しを余儀なくされました。
第二に、原価高騰と低価格モデルの限界です。2026年から2026年にかけて、牛肉・鶏肉・食用油などの輸入食材価格や物流費、電気・ガス代が記録的な高水準で推移しています。「低価格でお腹いっぱい食べられる日常食」を強みにしてきたガストにとって、原価高騰分をそのまま価格転嫁すると顧客離れを招き、価格を維持すれば利益が吹き飛ぶという厳しい板挟みに直面しました。
また、一時期ほぼ全店規模で導入された「から好し」のから揚げ併設事業も、テイクアウトブームの落ち着きやオペレーション効率化の観点から順次見直しが進められており、メニュー構成とキッチン負担の再整理が進んでいます。