死亡説がまことしやかに囁かれる最大の原因は、単行本第49巻が刊行された2012年10月以来、10年以上の歳月にわたって新刊が途絶えていることにあります。雑誌の定期連載もストップしており、メディア露出が一時的に減ったことで、「安否がわからない=死亡したのではないか」という極端な憶測へと飛躍してしまいました。
さらに、近年において長寿連載を抱えた著名な漫画家が志半ばで他界されるニュースが相次いだことも影響しています。『ベルセルク』の三浦建太郎先生をはじめとする未完の巨編の話題がネット上でまとめられる際、『ガラスの仮面』が「続きが読めない名作」として同じ文脈で語られるケースが多く、そこから読者の誤解が連鎖していったと考えられます。
休載の決定的な理由について、美内先生自身は「執筆をやめたわけではない」と語っています。先生は納得がいくまで原稿を何度もスクラップ&ビルドする完璧主義者として知られており、雑誌掲載時の原稿を単行本化する際にほぼ全編描き直すという凄まじいこだわりを持っています。この徹底したクオリティへの追求こそが、刊行スケジュールの長期停止を招いている本質的な要因です。