事件の引き金となったのは、いわゆる常磐自動車道あおり運転事件である。激しいあおり運転の果てに悪質な暴行に及んだ宮崎文夫被告と、その傍らで犯行を撮影し犯人隠避の罪に問われた喜本奈津子受刑者の存在が、世間に強い衝撃を与えた。世間の関心は一気に容疑者の潜伏先や同乗していた女性の正体に集まった。
問題はここからだ。ネット掲示板やSNS上で「同乗していたのはこの女だ」と、全く無関係の女性の実名やSNSアカウント、会社経営者としての情報が根拠もなく特定情報として晒し上げられた。いわゆるネット風評被害・デマの標的となった女性は、身に覚えのない誹謗中傷や無電攻撃に直面し、会社業務の停止や精神的苦痛を余儀なくされた。正義感を気取ったネットユーザーたちが暴走し、無実の人間を地獄へ突き落とした瞬間だった。