私生活では1991年にタレントのあいだももと結婚するも、数年で離婚。その後、彼の人生を決定づける出会いが訪れます。共演を通じて意気投合した大人気女優・高島礼子との熱愛でした。
ふたりの馴れ初めは、1990年代半ばのドラマ現場や共通の知人を交えた食事会がきっかけとされています。下積みを経て実力派女優へと駆け上がっていた高島礼子と、同じく叩き上げでバイプレイヤーの地位を築いていた高知東生は、互いの境遇を深く理解し合える戦友のような関係でした。1999年にハワイで挙行された結婚式はメディアでも大々的に祝福され、以降、大手製薬会社の胃腸薬CMに夫婦で出演するなど、誰もが羨む「芸能界屈指のおしどり夫婦」として認知されていきました。
しかし、2015年秋に突然発表された芸能界引退の理由が、その後の破滅の引き金を引くことになります。表向きの理由は「パーキンソン病を患い、寝たきり状態にある高島礼子の実父の介護に専念するため」というものでした。当時、夫が妻の仕事を支えるために自らのキャリアを潔く捨てる姿は「究極の献身」「理想の夫」として社会的に絶賛されました。
だが、その裏には恐ろしい自己欺瞞が潜んでいました。俳優としてのオファーが徐々に変化していくことへの焦燥感、名女優の夫であり続けなければならない重圧、そして幼少期から抱え続けた孤独感。介護という美しい看板を掲げながら、実際には居場所を失った精神的空白に耐えかね、闇ルートの薬物に依存する逃避行へと足を踏み入れていたのです。