中学3年時のあの走りは、一卵性の天才の出現を日本中へ強烈にアピールした。岡山県代表として3区(3km)を走り、9分2秒という区間新記録を樹立。前にいた17人もの走者を次々と抜き去る姿は、まるでタイムスリップしてきた未来のランナーのようだった。だが、彼女の本質は単なる早熟の天才ではない。
高校進学後、ライバルたちからの徹底的なマークやプレッシャーにさらされながらも、彼女は着実にレース展開のバリエーションを増やしていった。単騎で逃げ切るスピードだけでなく、集団の中で体力を温存し、ラスト300メートルで一気にギアを切り替えるスパート力。レースごとに進化を見せる柔軟性こそが、彼女をトップランナーたらしめている要素だ。