1990年代初頭、金曜夜10時のテレビの前には、言葉を失う視聴者の姿があった。TBSテレビの金曜ドラマ枠で放送された『高校教師』は、脚本家・野島伸司が提示した過激かつ繊細な世界観によって、テレビドラマ業界の常識を根本から塗り替えた作品だ。同級生からのいじめ、家庭内暴力、そして教師と生徒の禁断の愛――。それまで民放ドラマが踏み込むことを躊躇していた禁忌に真っ向から踏み込んだ。
単なるスキャンダラスなトピックの羅列に終わらず、若者の孤独や魂の叫びを哀惜のメロディとともに描き切った本作は、視聴率が30%を超える社会現象へと拡大。単なるエンターテインメントの枠を超えた社会派ドラマとして、日本のポップカルチャー史に深く刻まれることとなった。