近年、この高所スリラーの概念を極限まで押し広げ、世界中で空前の爆発的ヒットを記録したのが、スコット・マン監督による映画『FALL/フォール』だ。老朽化した高さ600メートルのテレビ塔に取り残された2人の女性。スマホの電波は届かず、梯子は崩落し、地上への降下手段は皆無という絶望的な状況を描き切った。
大手スタジオのライオンズゲートが配給を手掛けた本作は、低予算映画でありながら世界的な興行収入の記録を打ち立てた。映画産業全体に「極限空間×ワンシチュエーション」の凄まじいビジネス的ポテンシャルを見せつける結果となった。何もないタワーの頂上という極小の足場。それだけで観客の身体的緊張感を約100分間にわたって持続させる手腕は、現代映画の新たな金字塔として評価されている。