製パン業の経営を根底から揺さぶったのは、需要の減少だけではない。世界的な原材料価格の高騰と、歴史的な円安、さらにエネルギーコストの激増が重なる重厚なパンチだった。高級食パンの命とも言える輸入小麦、バター、生クリーム、そして砂糖。これらすべての仕入れ値が数年で跳ね上がった。
本来であれば、コスト上昇分をそのまま販売価格に転嫁したいところだ。だが、すでに1本1,000円前後のプレミアム価格で販売していた店舗にとって、さらなる値上げは客離れを決定づける諸刃の剣だった。価格を上げられず、コストだけが膨らむジレンマの中で収益構造は限界に達し、立ち行かなくなる店舗が増加した。