高嶋ちさ子の実父である高嶋弘之もまた、音楽界の伝説的プロデューサーだ。東芝音楽工業(当時)のディレクターとして、あのザ・ビートルズを日本に紹介し、「抱きしめたい」などの邦題や日本独自の売り出し戦略を手掛けた人物である。兄である忠夫が銀幕やテレビで活躍する傍ら、弟の弘之はレコード産業の最前線でブームを巻き起こしていた。
家庭内には常に多様な音楽があふれ、父・弘之の強い意向と指導のもと、ちさ子は幼少期からヴァイオリンの猛練習に励むことになる。厳格な音の世界で培われた妥協を許さない姿勢は、やがて彼女を本格派のクラシック音楽家へと押し上げる原動力となった。