バイオリンの数え方は「1本」や「1台」だと思っていませんか?実は知っておくべき伝統的な助数詞が存在します。国語辞典や音楽辞典を引くと、バイオリンを数える公的な単位として真っ先に記載されているのが「挺(ちょう)」です。
漢字の読み方としては、1つなら「1挺(いっちょう)」、2つなら「2挺(にちょう)」、3つなら「3挺(さんちょう)」と変化します。常用漢字表外の漢字であるため、印刷物によっては「挺」の代わりに手偏の「梃」が使われたり、平仮名で「ちょう」と表記されたりすることもあります。
一般の生活者にとって「挺」という言葉は、豆腐(1丁・1挺)や蕎麦、あるいは銃火器(ライフル銃1挺)などを想起させるマニアックな単位に思えるかもしれません。しかし、日本のクラシック音楽業界、とりわけ楽器鑑定士やプロオーケストラの現場、音楽大学の講義においては、バイオリンを「挺」と呼ぶことはごく自然な教養として息づいています。
もちろん、現代の楽器店での売買や日常会話において「バイオリンを1本持っている」「教室に2台備え付けてある」と言ったところで、意味が通じないわけではありません。しかし、文化的な背景や楽器への敬意を重んじる場面では、今なお「挺」を用いるのが最も美しく洗練された日本語表現として扱われています。