今回、工房の特別な計らいにより、仕込みを終えたばかりの限定醸造バッチを先行試飲する機会を得た。グラスを傾けると、トップノートに現れるのは白桃やパッションフルーツを思わせるジューシーなアロマ。含むと、重厚なモルトのコクが一瞬広がった後、グレープフルーツピールのような引き締まった苦味が押し寄せ、最後は驚くほどドライに消え去る。複雑でありながらどこまでも瑞々しい、圧巻の仕上がりだ。
ここでしか味わえない鮮度を体感するなら、店内の黒板に記された最新タップリストの確認が欠かせない。定番のピルスナーやペールエールに加え、週替わりで登場する限定サワーエールやハイアルコールのバーレイワインなど、一期一会の銘柄が常時スタンバイしている。また、少人数限定で行われる仕込みエリアの見学は、混雑する週末のピークを外した平日の開店直後、ブルワーの手が空く時間帯を狙って声をかけるのがツウの間で知られる裏技だ。タイミングが合えば、タンクから直に注がれる未ろ過ビールの試飲という極上の特権に巡り合えることもある。