肝円索とは?胎児循環の痕跡が持つ臨床的役割と画像診断の真相

肝円索とは?胎児循環の痕跡が持つ臨床的役割と画像診断の真相

肝円索とは?胎児循環の痕跡が持つ臨床的役割と画像診断の真相の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

解剖学や画像診断の現場で初学者が最も混乱しやすいのが、肝鎌状間膜との違いです。どちらも肝臓の前面から下面にかけて存在する腹膜の構造ですが、その位置関係と成り立ちは明確に区別されます。肝鎌状間膜(かんかまじょうかんまく)は、肝臓の上面(横隔面)を前腹壁や横隔膜に固定している薄い二枚の腹膜のひだ(鎌状の膜)です。そして、この肝鎌状間膜の「一番下にある自由縁(ぶら下がっている端の部分)」の中を包まれるように走っている強固な線維索が肝円索です。つまり、膜の端に芯のように通っているのが肝円索という包含関係にあります。

肝臓を下面(内臓面)から見上げると、肝円索が収まる深い溝が存在します。これが肝円索裂の解剖(裂隙:れきげき)です。肝円索裂は、解剖学者クロード・クイノーが提唱した肝臓の8区域分類において、左葉外側下区(S3)と左葉内側区(S4:方形葉)を左右に分かつ厳密な境界線となっています。さらにこの溝を奥深くまで辿っていくと、門脈の本幹から分岐した門脈左枝の「臍部(Rex部)」へと直接連続しています。

外科医が肝臓の切除手術を計画する際、この肝円索裂と門脈左枝の合流ポイントは絶対に誤認してはならないランドマークです。肝円索を正確に同定して追跡することが、肝内脈管系の迷路を解き明かす鍵となるのです。

高橋 健太
Author

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。