単語の本質に迫るには語源学(etymology)のアプローチが極めて有効だ。appreciateは、ラテン語の「ad-(〜へ)」と「pretium(価格・価値)」が合体した言葉に由来する。つまり、「価格をつける」「価値を見極める」という動詞が原点なのだ。英語の「price」や「precious」と同根である事実を知れば、なぜこの単語が「価値の認識」を軸に展開するのかが腑に落ちるだろう。
教育言語学の第一人者であるデイヴィッド・クリスタル(David Crystal)教授も指摘するように、言語の語彙は時代とともに用法を拡張させるが、中核にある概念構造(コア・ミーニング)は保たれ続ける。意味論(semantics)の視点から見ても、「価値を認める」という原義が発展した結果、「相手の行為の価値を認める=感謝する」「事態の深刻さの価値(重み)を認める=理解する」という派生構造が生まれたわけだ。