日本全国には、古くから疫病退散や「封じ」の信仰を守り続けてきた神社が数多く存在する。がんという病名が一般的になる以前から、人々は「悪物(わるもの)」や「腫れ物」を断ち切る神徳を求め、境内の井戸水で身を清めたり、御神木に祈りを捧げてきた。
これらの神社が現代において「がん封じ」の聖地として崇敬される背景には、地域ごとに受け継がれてきた秘められた由緒がある。例えば、修験道の荒行の地として知られる山間の社から、城下町の無病息災を支えた古いお宮まで、その根底にあるのは命の危機に瀕した人々を温かく包み込む包容力だ。歴史の波を乗り越えて受け継がれた神意が、現代を生きる参拝者の心に強い灯をともしている。