この時代のテキストカルチャーを語る上で欠かせないのが、匿名掲示板「5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)」と、西村博之(ひろゆき)氏の存在だ。匿名性が保たれた空間でユーザー同士が言葉遊びを繰り返し、独自の表現を研ぎ澄ませていく下地が作られた。そこから派生した文化はニコニコ動画をはじめとするWebサービスへと波及し、独自の生態系を形作っていった。
ネットの海で自然発生した言葉は、誰か一人の創作物ではなく集団の熱量によって洗練される。日本のインターネット文化が最も熱気を帯びていた時期の記憶が、文字の羅列の中に今も刻まれている。当時のコピペ文化やAA(アスキーアート)の文脈を知らない世代が、その残像をキャッチして新しい解釈を与えているのだ。