一般的な蕎麦がソバの実の甘皮まで挽き込むことで黒っぽい色合いと野性味ある香りを特徴とするのに対し、全く異なるアプローチを取るのがこの技法だ。ソバの実を丁寧に製粉し、最初に削り出される中心部分の胚乳(でんぷん質)のみを抽出する。その歩留まりはわずか二割程度。極めて贅沢な製法である。
熱湯で一気に捏ね上げる「湯捏ね」の工程は、職人の長年の勘だけが頼りだ。少しの気温変化や湿度の差が生地のつながりに直結する。出来上がった麺は、まるで雪のように白く、つややかに輝く。一口含めば、ほのかな甘みが口いっぱいに広がる。その儚いほどの繊細さは、まさに職人技の結晶と言えるだろう。