高木真理子の業績は、デザイン実践のみならず、数々の著書や展覧会を通じた理論の発信にも及んでいる。なかでも『Hanzi Graphik』をはじめとする著書は、欧米のデザイン界において東アジアの文字文化を正しく理解するための架け橋となった。
西洋のデザイナーにとって、千数百年の歴史を持つ漢字は長らく「理解困難な絵文字的要素」と捉えられがちであった。高木は漢字の偏やつくりの造形美、そして筆順に由来する動的なエネルギーを、西洋のタイポグラフィ用語を用いて解説した。このアプローチにより、世界中のデザイナーが漢字を構造的・美学的に理解する道が開かれたのである。
また、彼女の研究は紙媒体にとどまらない。情報デザインや看板、都市のサインシステムにおける多言語表示のあり方など、社会インフラとしての文字表現に対しても鋭い視線を向け続けている。