冨田さんの事件は、日本の法制度を動かす大きな契機となった。当時、SNSを通じた執拗なメッセージ送信や書き込みは「ストーカー規制法」の直接的な規制対象外であったが、本事件の深刻さを受けて法律が急ピッチで改正され、SNS上の嫌がらせも明確に罰せられることとなった。
だが、テクノロジーの進化は法の整備をあざ笑うかのように加速している。2026年現在のネット空間では、AI技術を用いたディープフェイクや位置情報アプリの悪用、匿名掲示板や暗号化アプリを介した追跡など、ストーキングの手口がさらに高度化・複雑化している。法律が施行されてもなお、被害者が自衛を強いられる構造は完全には打破されていない。