富士山のような成層火山が本格的な噴火に至る場合、通常は何らかの前兆現象が段階的に観測されます。マグマが深部から上昇して地表に近づく過程で、以下のような物理現象が発生するためです。
第一のサインは火山性地震の増加と浅部への移動です。深部で起きていた微小地震が徐々に山頂直下や山腹の浅い場所へ移動し始めます。続いて、マグマや熱水が火道を上昇する際に発生する特有の振動である「火山性微動」が記録されます。
同時に、マグマの貫入によって山体が膨らむ「地殻変動(山体膨張)」が傾斜計やGNSSで捉えられます。さらに周辺環境においては、地下水位の急激な変化、湧水の枯渇や温度上昇、山肌からの噴気やガス放出、異臭(硫黄臭)などが確認されるのが典型的なプロセスです。これらの前兆が捉えられた段階で、気象庁から噴火警戒レベルの引き上げ(レベル2やレベル3)が即座に発表されます。