現代の長距離フェリーにおいて、かつての「大部屋雑魚寝」はほぼ姿を消しました。現在の主流は、プライバシーが確保されたカプセル型のツーリストベッド、またはホテルの客室と遜色ない完全個室です。
一人旅やコスト重視派に選ばれる「ツーリスト」は、上下段が互い違いに配置されたカプセル構造で、個別カーテン、読書灯、電源コンセント、USBポートが完備されています。周囲の視線を遮りながら静かに過ごせる設計となっており、20代〜30代のソロトラベラーからも高い評価を得ています。
さらに快適性を求める層には、ツインやダブルベッド、専用シャワー・トイレ、液晶テレビを備えたファースト・デラックス・スイートなどの個室カテゴリーが人気です。最上級の「スイート」や「ロイヤル」クラスでは、プライベートバルコニーが付いており、夜の瀬戸内海の風を感じながら優雅なひとときを過ごせます。国土交通省海事局の利用動向調査でも、フェリー利用者の個室志向は年々高まっており、週末や繁忙期は個室から真っ先に満室となる傾向が続いています。
船内のパブリックスペースも見逃せません。瀬戸内海航路の最大の目玉である展望風呂では、3大架橋(明石海峡大橋・瀬戸大橋・来島海峡大橋)のライトアップを湯船に浸かりながら眺めるという、陸上では決して味わえない非日常体験が楽しめます。阪九フェリーの露天風呂では、海風を直接浴びながら満天の星空を眺める贅沢が味わえます。
船内レストランも充実しており、名門大洋フェリーは季節のメニューを取り揃えたディナービュッフェが好評です。阪九フェリーは好きな小鉢やメインをトレイに取るカフェテリア方式を採用しており、名物の「ホルモン鍋」や「船内焼き立てパン」など、専門店のクオリティに匹敵するグルメが旅の満足度を底上げしています。