日高のり子さん自身もアイドル歌手としての経歴があり、高い歌唱力を持つ声優として知られています。それにもかかわらず、なぜ歌唱パートで大木理紗さんが起用されたのでしょうか。そこにはディズニーおよびピクサー作品ならではの極めて厳格な音楽的クオリティへのこだわりが存在します。
ディズニー作品の吹き替えオーディションでは、キャラクターの声質だけでなく、原曲の音域、ファルセットのニュアンス、息遣いに至るまで、本国のオリジナル版と完全に合致することが求められます。『ホエン・シー・ラヴド・ミー』は静寂の中で繊細な感情の揺れを表現しなければならない難曲であり、原曲のニュアンスを忠実に再現するために専任のシンガーがキャスティングされました。
日高さんの情感あふれる芝居と、大木さんの心に染み入る歌声が見事に融合したからこそ、日本語吹き替え版のあの名シーンは今も色褪せない感動を届けています。