日本語の宛名書きには、送り手と受け手の関係性を律する厳密な敬語のルールが存在する。企業や団体があらかじめ用意する返信用封筒には、自らの組織名に対して「〇〇株式会社 行」や「〇〇係 宛」と印刷されている。これは自らを低める「謙譲」の表現であり、相手に敬称を強要しないための礼儀である。
返信する側がそのまま投函してしまうと、相手のへりくだった表現をそのまま突き返すことになり、失礼にあたる。そこで、受け手側が敬称である「御中」へと改める。組織や部署全体を敬う場合は「御中」、特定の個人を指す場合は「様」を用いるのが原則だ。「御中」という言葉自体が「組織の中の皆様へ」という意味を内包しているため、法人宛ての郵便物には不可欠な敬称といえる。