企業法務の実務は、時間軸と関わり方の深さに応じて「臨床法務」「予防法務」「戦略法務」という3つの概念で体系化されています。この3つのバランスこそが、組織の成熟度を示す指標となります。
第1の「臨床法務」は、すでに起きてしまった法的トラブルに対処する機能です。顧客からのクレーム対応、契約不履行に対する損害賠償請求、労働争議、訴訟対応などが該当します。いわば医師が病気になった患者を治療するような段階であり、迅速な被害の極小化が求められます。
第2の「予防法務」は、紛争が起こるリスクを事前に摘み取る機能です。日常的な契約書のチェック、利用規約の改定、コンプライアンス研修などがこれに当たります。トラブルの芽を未然に防ぐ「健康診断」や「予防接種」のような位置づけであり、法務業務の中核をなす領域です。
第3の「戦略法務」は、企業の成長を法的な観点からドライブさせる高度な機能です。M&A(企業の合併・買収)における法務デューデリジェンス、新規事業における規制緩和交渉、特許・知的財産を活用した市場優位性の確立などが含まれます。経営陣の右腕としてビジネスの可能性を切り拓く役割であり、近年各社で最も需要が高まっている領域です。