「法事は何回忌まで勤めるのが正解なのか」という問いに対し、仏教界で長年受け継がれてきた公式の目安が三十三回忌の基準です。仏教と日本古来の祖霊信仰が融合した神仏習合の思想において、死者の魂は長い年月をかけて罪障を消滅させ、三十三回忌を迎えることで個別の霊から清らかな「ご先祖様(祖霊)」へと昇華すると考えられてきました。この最後の法要を「弔い上げ(とむらいあげ)」または「問い切り(といきり)」と呼び、年忌法要の大きな区切りとしています。
しかし、この伝統的な慣習をそのまま維持することが難しくなっているのが実情です。故人が亡くなってから32年後に行われる三十三回忌の時期には、配偶者はおろか、子どもである施主自身も70代後半から80代に達しているケースが珍しくありません。参列すべき親族も鬼籍に入っているか、施設入所や健康上の理由で移動が困難な状態に陥っています。
こうした現実に直面し、無理をして三十三回忌まで引き延ばすのではなく、実質的に親族が集まれる限界を見極めて法事をやめるタイミングを決める動きが一般化しました。特に首都圏を中心とする都市部では、十七回忌や十三回忌、さらには七回忌を事実上の弔い上げとする事例が日常的な選択肢として定着しています。