「イーストによる長時間の一次発酵・二次発酵を経ずに、なぜ生地が膨らむのか」という疑問に対し、製パン科学の観点から明確な答えが存在します。鍵を握るのは、ベーキングパウダーの熱反応とヨーグルトや水分の保水力です。
ドライイーストなしパンでは、炭酸水素ナトリウムを主成分とするベーキングパウダーを活用します。水分と反応して一度ガスを発生させ、さらに加熱時に再度膨張する「二段膨張」の仕組みを利用するため、寝かせる時間をゼロに短縮できます。また、生地に少量のプレーンヨーグルトや牛乳を加えることで、乳酸がグルテンの過度な結束を適度に緩め、冷めても固くなりにくいしっとりとした気泡構造を形成します。
さらに、小麦粉の配合も重要です。強力粉単体ではグルテンの弾力が強すぎてフライパン調理で火が通りにくくなる場合がありますが、強力粉薄力粉パンレシピとして「強力粉7:薄力粉3」の比率でブレンドすると、ふんわりとした歯切れの良さと適度なもっちり感を両立できます。