ネット上の情報では「誰でも1日で簡単に作れる」と煽られがちですが、家族の形によっては自力作成のハードルが一気に跳ね上がる領域があります。
誤解1:「法定相続情報一覧図があれば遺産分割協議書は不要になる」
これは極めて多い勘違いです。法定相続情報一覧図は、あくまで「民法上の法定相続人が誰であるか」という血縁・身分関係を証明する書類に過ぎません。「誰がどの預貯金や土地をどれだけ相続するか」を合意する「遺産分割協議書」とは役割が根本から異なります。銀行口座の解約には、一覧図に加えて「遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書」または「銀行所定の相続届(全員実印)」が別途必要になります。
誤解2:兄弟姉妹が相続人になるケースや数次相続の複雑怪奇さ
被相続人に子どもがおらず、両親もすでに他界している場合の「兄弟姉妹相続」や、相続開始後に遺産分割をしないまま別の相続人が亡くなった「数次相続」では、必要な戸籍の数が跳ね上がります。被相続人の出生から死亡までだけでなく、両親の出生から死亡までの戸籍、場合によっては祖父母の除籍、甥・姪の戸籍まで追いかける必要があり、収集すべき書類が30通を超えるケースも珍しくありません。このレベルになると一覧図のツリー構造も複雑になり、記載ミスによる補正指示が何度も発生しやすくなります。
代理人に依頼する場合の委任状と資格制限
もし申出人本人が動けず、他人に手続きを委託する場合、法定相続情報一覧図の代理人になれる人物には法律上の厳格な制限があります。委任できるのは、原則として「法定代理人」「他の共同相続人」「弁護士・司法書士・行政書士・税理士・社会保険労務士などの資格者代理人」に限られます。友人や知人、内縁関係のパートナーなどは代理人になれません。代理申請を行う際は、法務局所定の委任状の書式に本人の実印(または認印+身分証写し)を押印し、代理人の本人確認書類を添付して提出する必要があります。