世間をあっと驚かせた川上麻衣子の決断の理由には、彼女特有の文化的ルーツとプロ意識が深く関わっています。北欧の開放的な環境で幼少期を過ごした彼女は、人間の肉体を卑猥なものとして捉えるのではなく、自然で美しい表現のキャンバスとして捉える感性を自然と身につけていました。
転機となったのは、巨匠・篠山紀信が撮影を担当した写真集の刊行です。単なる露出ではなく、陰影と光を巧みに操り、女性の肉体の美しさと内面の情念を昇華させた芸術的な作品群は、出版界に旋風を巻き起こしました。川上麻衣子の写真集が放つ圧倒的なリアリズムと凛とした眼差しは、従来の男性向けグラビアとは一線を画す「アート」としての評価を獲得したのです。
事務所主導の受動的な仕事ではなく、本人が納得した上で選んだ挑戦だったからこそ、カメラの前で一切の迷いを見せない堂々たる表現が可能になりました。この決断が、彼女を「元アイドル」から「一級の女優」へと脱皮させる決定打となったのです。