ITmediaや各種ビジネス系SNS、社内ヘルプデスクのログを調査すると、Excelの非表示機能に起因するパニックは日常茶飯事となっています。大手メーカーの法務担当者は社内チャットツールに次のような投稿を寄せています。「他社とのアライアンス資料を作成中、コスト原価の行を『非表示』にした状態でxlsxファイルをそのまま相手方にメール送付してしまった。相手側が再表示した形跡があり、こちらの原価構造が筒抜けになって顔から血の気が引いた」。
Yahoo!知恵袋や大手掲示板でも、「前任者が残したExcelシートの計算が合わないと思ったら、見えないところで膨大な計算行が非表示になっていた」「シートの再表示を押しても候補一覧が真っ白で表示されない」といった相談が毎月のように投稿されています。後者に関しては、VBA(マクロ)環境でシートの表示状態が「xlSheetVeryHidden」に設定されているケースが多く、通常のExcelユーザーインターフェース上からは存在すら確認できない仕様が混乱に拍車をかけています。
さらに見過ごせないのが、非表示セルの誤コピーによる情報漏洩です。多くのユーザーは、画面上で見えていない行や列はコピーされないと思い込んでいます。しかし、デフォルトのExcel仕様では、非表示部分を含んだ範囲をドラッグして「Ctrl + C」を押し、別のシートやメール本文に「Ctrl + V」で貼り付けると、非表示にしていたセルの中身まで丸ごと展開されてしまいます。現場のリアルな証言が示す通り、非表示機能は「見えなくする」だけであり、「消去した」わけでも「隠蔽した」わけでもないという前提を忘れた瞬間に、致命的なミスへと直結します。