事件から年月が経過した2000年代、この事件をモチーフとした映画『コンクリート』が制作・公開されると、再び社会を巻き込む激しい議論が巻き起こった。あまりにも現実の凄惨さが勝る実在の凶悪犯罪を、商業映画という形で映像化することへの倫理的賛否が真っ向から対立したのだ。
劇場への上映中止要請や抗議運動が相次ぎ、映像制作業界全体が「表現の自由」と「被害者感情への配慮」という重い天秤に直面した。悲惨な史実を風化させず記録として残すという主張と、遺族の傷口に塩を塗るようなセンセーショナリズムへの批判。実録コンテンツにおける倫理的境界線は、クリエイターたちに今も重い制約と問いを課している。