全国の小学校で目撃例が増えている「座っている二宮金次郎像」ですが、この変化には明確な教育的・環境的理由が存在します。もっとも大きな要因として挙げられるのが、「歩きながら本を読む行為の危険性」に対する学校現場の意識変化です。
従来の「薪を背負い、歩きながら本を開く姿」は、寸暇を惜しんで勉学に励む勤勉の象徴とされてきました。しかし、現代の交通環境においては、児童に対して「道路を歩くときは前をしっかり見て歩く」という交通安全指導を徹底しなければなりません。教育現場において「歩き読書」を美談として掲げ続けることが、交通指導のメッセージと矛盾するという懸念が生じたのです。
こうした状況を受け、「本を読むときは落ち着いて座って読むべき」という現代の生活規範に即した座像を新たに寄贈・設置する動きが各地で具体化しました。単なるルックスの変化ではなく、子どもたちに安全と正しい学習姿勢を教えたいという教育的配慮が、座像化の根底にあります。