蜂起の中心人物のひとり、歩兵第3連隊の野中四郎大尉は、軍人としての規律と国家への危機感の間で激しく葛藤していた。彼らが目指したのは、単なる政権奪取ではない。昭和天皇による親政を実現し、窮状にある国民を救い出すことだった。
だが、現実は冷酷だった。天皇の激怒を買い、反乱軍のレッテルを貼られた瞬間、彼らの理想は瓦解する。野中四郎をはじめとする青年将校たちは、奉勅命令が下るなかで決断を迫られた。投降か、それとも死か。雪の東京で彼らが味わった絶望と葛藤のドラマは、いまなお人間の心理の深淵を問いかけてくる。