多くの人が小学校の授業で習った「砂漠=熱帯の砂地」というイメージは、実は気象学上の本質を捉えていない。気候学における砂漠(乾燥帯)の定義はシンプルだ。年間降水量(雨や雪)が250ミリメートル未満、あるいは蒸発量が降水量を超える地域を指す。
この基準を当てはめたとき、驚くべき真実が浮かび上がる。アフリカ大陸の北部を覆うサハラ砂漠の面積は約920万平方キロメートル。これに対し、南半球の果てに鎮座する南極大陸は、約1,400万平方キロメートルもの広さを誇る。実にサハラ砂漠の1.5倍以上のスケールだ。
しかも南極の内陸部における年間降雪量は、水に換算するとわずか数十ミリ程度。地球上で最も乾燥した場所の一つであり、学術分類上、まごうことなき世界最大の砂漠なのである。「冷たい砂漠」の存在を知ることは、地球環境の多様な素顔を理解する第一歩と言えるだろう。