「今を生きる」という言葉を語る上で、外すことができない不朽の名作が、ピーター・ウィアー監督、ロビン・ウィリアムズ主演の映画『いまを生きる』(原題:Dead Poets Society)です。厳格な全寮制名門校に赴任した風変わりな英語教師ジョン・キーティングが、生徒たちに投げかけた力強いフレーズは、公開から長い年月を経た現在も世界中で語り継がれています。
劇中でキーティング教師が生徒たちに耳打ちしたのが、古代ローマの詩人ホラティウスの詩文に由来するラテン語「Carpe Diem(カルペディエム)」でした。
「カルペディエムの意味」は、一般的に「その日を摘め」「今を生きよ(Seize the day)」と訳されます。ホラティウスの原詩『歌集』第1巻第11歌には「Carpe diem quam minimum credula postero(その日の花を摘め、明日のことはできる限り信じるな)」と記されており、ここでの「摘む」とは、咲き誇る花が枯れてしまう前にその美しさを愛でるように、二度と戻らない一瞬の尊さを主体的に味わい尽くすというニュアンスを含んでいます。
劇中で語られた「Make your lives extraordinary(自分だけの、並外れた人生を築け)」という言葉は、親や社会が敷いたレールに縛られていた少年たちの魂を揺さぶりました。それは単なる気晴らしの勧めではなく、自分の頭で考え、自分自身の足で「今」という時間を踏みしめるための宣戦布告だったのです。