福岡のパンを語る上で避けて通れないのが「明太フランス」の存在です。いまや全国各地のベーカリーに並ぶ定番商品となりましたが、福岡における明太フランスは完全に一線を画すクオリティを誇ります。
福岡における明太フランスの原点として名高いのが、東区松崎に本店を構えるフルフル(Full Full)です。「焼き立てのフランスパンに本物の美味しい辛子明太子を合わせたらどうなるか」という職人の情熱から生まれた元祖明太フランスは、外皮の軽やかなクリスピー感と、溢れ出すオリジナル明太子バターペーストの調和が完璧に計算されています。1日に数千本を売り上げる実績を持ち、焼き上がりの鐘が鳴るたびに店内に歓声が上がる光景は名物となっています。
一方で、ハード系パンとしての芸術性を極限まで高めたのがパンストック(pain stock)の「めんたいフランス」です。店主・平山哲生氏が提唱する高加水・長時間冷蔵発酵によって生み出される生地は、気泡をたっぷり含んだモチモチとした弾力と、国産小麦本来の力強い甘みを湛えています。そこに厳選された無添加明太子と自家製マヨネーズ、バターを贅沢に注入。一口かじった瞬間に広がる旨味の深さは、従来の惣菜パンの枠を完全に超越しています。
軽快な食感と親しみやすさで日常を支えるフルフルと、重厚な粉の風味で圧倒するパンストック。この二大潮流の切磋琢磨こそが、福岡の明太フランス水準を世界最高峰へと押し上げた原動力です。