植物界において、バラには青色色素を作る酵素「デルフィニジン」を生合成する遺伝子が存在しませんでした。古代ギリシャ・ローマの時代から交配を繰り返しても、赤、白、ピンク、黄色の花は咲けど、純粋な青いバラだけは絶対に咲かなかったのです。そのため、英語圏の慣用句で「Blue Rose」は長らく「あり得ないこと」「手に入らない幻」を意味し、文学の世界でも叶わぬ夢の象徴として描かれてきました。
この数百年にわたる植物学の「常識の壁」を打ち破ったのが、日本のサントリーとオーストラリアのバイオベンチャーによる共同研究プロジェクトです。2004年、パンジーの青色遺伝子を組み込むことで、世界で初めて青色色素を持つバラの開発に成功。この科学的偉業の達成に伴い、バラの歴史とともに紡がれてきた花言葉そのものが「不可能」から「夢かなう」「奇跡」「神の祝福」へと公式に塗り替えられるという、園芸史上前代未聞のパラダイムシフトが起きました。
現在では、難関資格の合格祝い、起業や新規事業の立ち上げ、そして「奇跡のような出会い」を祝うプロポーズなど、困難を乗り越えて夢を掴み取った人へ贈る最上級の賛辞として定着しています。