石井の取材手法を一言で表現するなら「体当たり」である。雨の日の屋外練習場であっても、選手が泥にまみれているならば自らもレインウェアを着込んで同じ目線に立つ。ベンチの隅や取材エリアの最前列で、絶えず選手の息遣いに耳を澄ませている。
アスリートが勝利に歓喜する瞬間はもちろん、敗北に打ちひしがれ言葉を失う瞬間にこそ、彼の本領が発揮される。かけるべき言葉、あえて掛けずに寄り添う沈黙。元競技者だからこそ分かる残酷な勝負の世界の現実を包み隠さず、かつ敬意を持って伝える姿勢が、多くのスポーツ選手から深い信頼を勝ち取っている理由だ。