本棚にしまう時代は終わった。現代の若年層にとって、本は部屋の壁やデスクの上に「飾る」対象である。InstagramやTikTok、そして空間コンピューティングの共有空間において、自らの部屋の棚にどのような本が並んでいるかは、個人のアイデンティティを直接表明するステートメントとなった。
そのため、背表紙から表紙、裏表紙にかけてパノラマ状に広がる巨大な一枚絵や、ジャケットを剥がすと別のイラストが現れるダブルカバー仕様など、立体的なギミックを凝らした装丁が相次いでヒットを記録している。あるインディーズ出版社が手がけた限定版小説は、表紙イラストの美しさだけで事前予約が数万部を突破した。ビジュアルの強さが、読書のハードルを劇的に下げている。