この美術館の骨格を成しているのが、大和の風土が生んだ巨匠たちの圧倒的な表現力だ。地元奈良の安堵村出身であり、近代陶芸の金字塔を打ち立てた富本憲吉の作品群は、工芸・陶芸の概念そのものを根本から覆すエネルギーを放つ。「模様から模様を作らず」という彼の信念が刻まれた色絵磁器の幾何学模様は、現代のデザイン感覚から見ても驚くほど先鋭的だ。
一方、近代日本画のフロアへ足を踏み入れると、空気が一変する。気品と情念がせめぎ合う上村松園の美人画は、研ぎ澄まされた描線と繊細な色彩の階調で見る者を釘付けにする。女性初の文化勲章受章者である彼女の描く女性像は、単なる優美さを超え、揺るぎない芯の強さを主張する。土と炎が織りなす陶芸の立体美と、絹本に引かれた一本の筆線が見事に呼応し、日本の近代美術が辿ったドラマを立体的に浮かび上がらせている。