多くの消費者が信じ込んでいる「エアコンの設定温度を高めにすれば無条件で節電になる」という説。実はこれ、条件次第で真逆の結果を招くことが近年のデータ分析で判明している。経済産業省が発表した最新の省エネガイドラインによると、急激な室温上昇時にエアコンの能力を抑えすぎると、コンプレッサーが最長効率ゾーンを外れて長時間ダラダラと過負荷運転を続け、かえって総消費電力が増大するケースが相次いでいるという。
電気代を劇的に削減するための最大の裏ワザは、「自動運転モード」の徹底活用と、風量調整のロジックにある。エアコンは室内が冷えるまでの最初の15分間に消費電力の約80%を集中させる仕組みだ。ここで弱風や微風に設定してしまうと、目標温度に達するまでの時間が伸び、結果として電気代が跳ね上がる。風量は「自動」に設定し、一気に部屋を冷やしてから安定運転に移行させるのが、最新の省エネ基準におけるもっとも効率的なアプローチとなる。
さらに、エアコン設定温度を1度下げるごとに約10%の消費電力が上昇すると言われるが、体感温度を下げる工夫を組み合わせれば設定温度を無駄に下げる必要はない。サーキュレーターをエアコンの吹き出し口の対角線上に配置し、風を循環させるだけで体感温度は2度近く低下する。損をしないための最適な設定は、機械だけに頼るのではなく、空気の物理的な流れをコントロールすることにあるのだ。