手記の文体は、特有の修飾語と美文調の表現で覆い尽くされていた。精神医学の専門家や臨床心理士らが当時から指摘していたのは、著者の自己愛的な防衛機制と「自己神話化」の傾向だ。
残酷な犯罪事実を詩的な言葉で装飾し、自らの内面的な苦悩や葛藤をドラマチックに描くことで、惨劇の主語を「殺された子供たち」から「苦悩する自分」へとすり替える構造。謝罪の言葉を述べながらも、根底には自身の存在を社会に誇示したいというナルシシズムが透けて見える。読者は加害者の反省の記録ではなく、都合よく再構築された「自叙伝」を読まされたに過ぎないという冷ややかな評価が、時の経過とともに定着していった。