企画自体が立ち消えになる寸前だった。関係者が口を揃えてそう明かす通り、本プロジェクトの実現にはいくつもの巨大な壁が立ちはだかっていた。数千万円規模ではなく、数十億円クラスの予算が動く超大作。リスク回避を最優先する日本の映画ビジネスにおいて、ここまでの攻めの姿勢は極めて異例だ。
「役員会は荒れに荒れました。安全なファミリー層向け作品や人気漫画の実写化に頼るべきだという慎重派が8割を占めていたんです」と、大手映画会社の幹部は本音を漏らす。膠着状態を打破したのは、創業家筋にあたる権力者の鶴の一声だった。過剰なコンプライアンス意識と保身に走る現場を一喝し、『世界で戦える作品でなければ作る意味がない』と独断でゴーサインを出したとされる。この一言が、冷え切っていた企画に一瞬で命を吹き込んだのだ。