錠剤を巡る問題の根源を辿ると、かつて米国で起きた医療用オピオイドの乱用危機へと行き着く。製薬大手パーデュー・ファーマのリチャード・サックラーが推し進めた強引なマーケティング手法は、処方薬でありながら極めて強い依存性を持つ鎮痛剤を「安全な薬」として全米に広めた。この歴史的スキャンダルは、営利企業が公衆衛生を軽視した最悪の事例として今も記憶に新しい。
この闇の構図を鮮烈に描き出したのが、Netflixで話題となった作品や各種の社会派ドキュメンタリーだ。映画『ペイン・ハスラーズ』でも描かれた通り、インセンティブに目がくらんだ営業担当者が医療現場を汚染し、患者を中毒状態へと追い込んでいった。製薬業界が利益獲得の狂騒に走った結果、何百万人もの命が犠牲となり、その余波が現在の違法錠剤市場のバックボーンを形成したことは疑いようもない事実だ。