マジシャンという職業は、秘密を守ることで成り立っている。カードの配置やコインの消去といった技術はもちろん、演者のパーソナリティそのものがミステリアスであればあるほど、ステージ上で披露される現象の不可解さは増していく。KiLaという人物は、まさにその美学を体現してきた表現者だ。
これまで数々のバラエティ番組や単独ライブで驚異的なクロースアップ・マジックを披露してきた彼だが、生年月日や本名、そしてプライベートな交友関係に至るまで、公式な情報は極めて限定的だった。インタビューで質問が私生活に及ぶと、巧みなジョークと微笑みでサラリと受け流すのが日常茶飯事。観客の意識を意図しない方向へ誘導する「ミスディレクション」は、彼のトークやメディア対応においても遺憾なく発揮されていたと言える。