2019年8月、バンテリンドーム ナゴヤ(当時はナゴヤドーム)で行われた中日対ヤクルト戦。マウンドに立った山田裕貴の背中には、父が現役時代に背負った中日の背番号「29」が刻まれていた。投球直前、マウンド上で思わず涙を溢れさせた彼の姿は、多くの野球ファンとドラマファンの心を揺さぶった。
ノーバウンドで見事なストライク投球を披露した瞬間、球場全体が大歓声に包まれた。スタンドから見守っていた父・和利氏は照れくさそうな笑みを浮かべつつも、息子の成長と覚悟を確かに受け止めていた。白球を捨てた少年が、役者として一人前になり、父のホームグラウンドへ帰還した歴史的瞬間である。