主題歌の持つ爆発力に目が奪われがちだが、映画の心理描写を深く支えているのは繊細なインストゥルメンタル楽曲群である。「三葉の通学」「糸守高校」「ふたりの異変」など、日常風景を描く楽曲ではピアノの単音が印象的に響く。
特にふたりの距離感や「時間差」を表現する場面では、あえて音数を極限まで減らした静寂の使い方が際立つ。「かたわれ時」で流れるストリングスとピアノのアンサンブルは、言葉にならない切なさを完璧に補完していた。セリフを邪魔せず、かといって背景に没入しすぎない絶妙な音像設計。RADWIMPSがロックバンドとしてのエゴを削ぎ落とし、純粋な劇伴作曲家として研ぎ澄まされた瞬間がそこにあった。