本作を単なる学園スキャンダルものから不朽の傑作へと引き上げているのは、緊張感あふれるサスペンスドラマの骨組みに、人間性の奥底を描き出すヒューマンドラマが重厚に絡み合う点だ。意思決定の最高機関である大学執行部において、前任者の突如たる失脚から権力の空白が生じたことで物語は怒涛の展開を迎える。
登場人物たちはみな、正義感とエゴ、そして人には言えない過去を抱えている。守るべきは組織のプライドか、それとも己の正義か。スピード感あふれる裏切り合戦の一方で、志半ばで去りゆく研究者の孤独や、権力という魔物に飲み込まれていく人間の哀歓が見事に描かれている。