1973年、爆発的な人気を誇った大女優・大原麗子との結婚は、日本芸能界を揺るがす大ニュースだった。しかし、あまりにも眩しすぎる二人の生活は、すれ違いと互いの苛烈なプロ意識ゆえにわずか5年で幕を閉じる。離婚の傷が癒えぬ中、1979年に彼が出会ったのが、後に生涯の伴侶となる一般女性・いちなさんだ。
派手な芸能界とは無縁の彼女は、渡瀬の不器用な素顔を温かく受け入れた。病と戦い、役柄に没頭するあまり身を削る夫を、彼女は徹底して影で支え続けた。過剰な報道陣のカメラから家族を守り抜き、静かな生活を守り続けた彼女の献身こそが、渡瀬が晩年まで第一線で演技を磨き上げることができた最大の理由だった。