稀代の脚本家・橋田壽賀子が劇中に込めたメッセージは明快だった。「人は一人では生きていけないが、家族であっても他者である」という冷徹かつ温かな人間観だ。劇中で岡倉大作が開店させた小料理屋「お食事処 おかくら」は、バラバラになりがちな娘たちがいつでも帰ってこられる精神的支柱として機能した。
言葉が鋭く交錯するダイアログは橋田流の真骨頂。一切の誤誤解を許さない怒涛のセリフ回しは、演者にとっても過酷な試練だった。長尺のセリフをNGなしで完璧に演じきる俳優陣の凄絶な舞台裏が、作品に類稀なる緊張感とリアリティをもたらしていたのである。